空き家問題③

 小刀称です。

 前回の続きです。前回は空家所有者に対するペナルティについて書きましたが、今回は、市町村の責務について書きます。

 

 空家特措法は、ペナルティ以外にも市町村は空家所有者に対してサポートをしなさいとも書かれています。

 具体的には、市町村に次の空家の適切な管理を促すため、所有者に情報の提供、助言、援助をするよう努力義務が課されています。

 

 あくまで努力義務ですが、大体の自治体で、空き家対策の予算が組まれています。函館市にもおいても、空家対策の計画、関係条例、補助金が整備されつつあります。

 補助金については、解体費用の一部最大30万円までの補助金制度が平成28年度の段階ですでにありました。

 また、補助金以外にも、各金融機関で解体費用に関する融資をする各金融機関の存在や七飯町の空き家・空地バンクに代表される官民対策プロジェクトもある模様です。

 対策が万全とは言いませんが、空家問題解決の意欲を持つ所有者には、しっかりサポートする仕組みづくりができつつあるでしょう。

 

 続いて、空家問題に対する僕たち司法書士の関わりです。

 司法書士は、空家問題を未然に防ぐ登記手続きや家庭裁判所から選任される財産管理人業務等を通して、日々の普通の業務から空家問題に取り組んでいると言えるでしょう。司法書士が空家問題に関わる事例を一つご紹介します。

 

 例えば、土地建物所有者が死亡し、誰も相続人がおらず誰も管理できない場合です。

 法律上、相続人がいない場合、利害関係人の申立によって、家庭裁判所で相続財産(空家)を管理する者を選任することができます。司法書士は、裁判所提出書類作成業務を通じて選任手続に関与し、更にその管理人に就任して空家の管理・権利移転・処分をして空家問題に取り組むことができます。

 

 費用(特に裁判所に納める費用)の問題で現実的に解決できるかどうかという難しさは当然あります。

 しかし、空家問題について、専門職として、問題解決に意欲がある依頼主に対しできる限りのサポートをしたいですし、一市民としても憂慮していることですので、自分に何ができるか日々考えています。 

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